再び端末化 2009 2 8

 今日は、昔のコンピューター事情の話から始めましょう。
これは、今から20年以上前のことです。
 当時は、マシン室(マシーン室)と端末室がありました。
マシン室には、まるで大型冷蔵庫のようなコンピューターがあり(汎用コンピューター)、
同じく、大型冷蔵庫のような磁気ディスク装置や、
軽自動車のような大きさのラインプリンターもありました。
 端末室は、どうかというと、
現代の人から見ると、まるで数十台のパソコンが並んでいるように見えますが、
実は、あくまでも汎用コンピューターの端末であり、
正確に言うと、汎用コンピューターへの入力装置だったのです。
この端末を使って、汎用コンピューターを操作したり、データを入力したり、
あるいは、プログラム開発をしたのです。
当時のプログラム言語は、COBOLとFORTRANでした。
 時代の流れと技術の進歩により、
端末室にあった入力装置が分離独立するようになりました。
今から見れば、貧弱なCPU(8ビットや16ビット)、
貧弱なハードディスク装置、
いや、当時は、ハードディスク装置が高価な装置だったので、
多くのパソコンにはハードディスクがついてなくて、
フロッピーディスク装置で代用していました。
 それでも、こうした入力装置(端末)は、
汎用コンピューターから分離独立ができて、うれしそうでした。
ニックネームまでついてしまいました。
マイコン(マイコンピューター)、
あるいはパソコン(パーソナルコンピューター)。
 やがて、こうしたパソコンは、全盛時代を迎えます。
使いやすいOSの登場(ウィンドウズ95、ウィンドウズ98、ウィンドウズXPなど)。
ひたすら安くなると同時に、ひたすら容量が大きくなったハードディスク装置。
CPUに至っては、昔のスーパーコンピューターを超えるものとなりました。
もはや、大型コンピューターは不要と言われるまでになったのです。
 しかし、これが、パソコンの命取りになったかもしれません。
消費者から見れば、せいぜい、インターネットやワープロにしか使わないのに、
そんな超高性能なCPUや、
容量が無限大と思えるハードディスクは不要と思うようになったのです。
 メーカー側からしてみれば、毎年、CPUやハードディスクが高性能化し、
その都度、新製品を発売するから、
消費者も、その都度、買い換えてほしいと思っているでしょうが、
消費者としては、インターネットやワープロをするには、
一世代前のパソコンでも十分と考えるようになったのです。
 同時に、パソコンの独立王国には、懸念が出てきたのです。
インターネットの普及により、
再び、大型コンピューターにつながれる可能性が出てきたのです。
 最初は、低速インターネットだから(ダイヤルアップで、その都度、接続)、
あくまでも、パソコンにとっては、インターネットは補助的なものと安心していたら、
あっという間に、ADSLや光ファイバーの普及により(大容量で常時接続)、
インターネットが主役になってしまったのです。
 インターネットには、何でもあります。
辞書、地図、あるいはワープロもあれば表計算ソフトもあるようになったのです。
つまり、インターネットそのものが、コンピューターに見えるようになったのです。
こうなると、パソコンは端末のようなものだから、
CPUは早くなくてもいいし、ハードディスクがついてなくでも問題ないということになります。
(インターネットには、自分専用のデータの保管場所もあります)
 再び、パソコンは、端末化してしまうかもしれません。
だから、最近は、5万円ノートパソコンなど、軽装備なパソコンが売れています。
 もちろん、世の中、不景気なせいもありますが、
パソコンがインターネットの端末化し、シンプル化することは避けられないと思います。
インターネットの端末になってしまった以上、パソコンには、
高性能なCPUは不要、ハードディスク装置は不要、
ワープロや表計算ソフトも不要(インターネット上にあるから。ただし、まだ発展途上の段階かも)、
OSも、どういうOSでもOK(インターネットから見れば、パソコンは単なる端末に過ぎないから)、
そういう流れになっていくかもしれません。
 書名 クラウド・コンピューティング
 著者 西田 宗千佳  朝日新書
















































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